『魅力人』とはファシリテーターである北村が1対1の対話を通じて魅力人の頭の中を掘り下げていく対談企画です。
読者に対し「人が人と活動をしていくためのヒント」としてもらうべく、インタビュー形式で掲載しております。
今回は糸満市市民活動支援センターまちテラス所長の川門義人さん。
彼がどんな思いを持って活動をしているのか対話を通じて見えてくるものがありました。
川門義人さん
糸満市市民活動支援センターまちテラス所長
ダンスが子どもたちと向き合うきっかけ

今日はよろしくお願いします。

お願いします。なんか恥ずかしいですね。

どうしてですか?

こうやって自分の話を誰かにすることないので。

それが狙いです(笑)

(笑)

義人さんは糸満市市民活動支援センターまちテラス(以下、まちテラス)で所長をされていますが、それまで何されていたんですか?

以前はコールセンターで働いていました。

市民活動に関わるきっかけはあったんですか?

はじめはまちづくりイベントにダンサーとして出てくれという依頼があって出てました。
当時は市民活動がなんなのか知らなかったです。当時はまちづくりのイベントってこんななんだって感じてたくらいです。

ダンスをされているんですね。

はい。10年くらいやってます。いろいろ思い出してきました。

なにを思い出したんですか?

このまちづくりのイベントに出た時に高校生のダンサーと接するようになったんです。

詳しく教えてください。

このイベントで高校生と仲良くなったのがきっかけで、高校のダンス部の外部顧問をやるようにもなったんです。

ほー。

子どもたちに教えることが楽しくてダンススタジオの運営もしていました。

いろんなことされているんですね。

個人事業でいろいろやっています。

いろいろと言うと?

アパレルやデザインです。いろんなことをやらせてもらってますね。そうしていくうちに「何か変わったことやりたいな」って思いはじめたんです。

そこからまちテラスに関わるようになったんですか?

そうですね。誘われたのがきっかけです。だけどダンススタジオを運営しながらということもあったので市民活動をするというよりは「子どもたちに何かを届けられるきっかけをつくれたらいいな」っていう軽い思いがスタートです。

なるほど。まちテラスの所長になったのはいつですか?

所長は2018年ですね。2017年からまちテラスのスタッフとして少しずつ関わるようにはなっていましたけど。

いろんなことに興味があって幅広く活動されていたんですね。

その意識はないですね。堅実なんですよ。コールセンターで働くというライスワークがありましたけど、まちテラスに誘われたときも、ちゃんと自分が食っていけるか計算してましたからね(笑)

その計算はどうでした?

いろいろ考えて楽しそうだし、やってみたいなって思いからまちテラスでがっつり関わるようになりました。

ダンスを広めたいって思いがあったんですか?

というよりは生きていく中で誰かと携わっていく中でいろんなことを経験したいなと思って。なのでまちづくりっていってしまうと大きすぎますが、子どもたちと関わりたいという思いからですね。

思い返すのいいですね。頭の中がほぐれてきました。自分忘れっぽくて。日々のことでいっぱいで過去のことをあまり思い返す機会がなかったんですよね。

そんなきっかけになって嬉しいです。

今は所長としてどんな思いで日々過ごしてるんですか?

常に考えているのは今、接してもらっている人たちとどう向き合っていくかですね。

SNSを拝見すると「子ども達」「成長」「願う」的な言葉を多用されていますが、これもいろんなことを経験してきて感じていることなんですか?

そうです。自分って「成長」という言葉で動いているんです。人生を振り返ったら成長することこそ、最大の楽しみであり、そこに尽きるなと思ってまして。

「成長」という言葉で動いている?もう少し詳しく聞かせてください。

「成長」というのは自分も関わる人もって意味です。それが最大の幸せになっているんです。

なるほど。

なにをすれば自分が一番の成長できるかを考えていますね。

うんうん。

大人って話すことでコミュニケーションが取れて理解し合えるじゃないですか?

はい。

そう思った時に「じゃあ子どもと接するときはどうなんだろう?」って考えるようになりました。はたして自分は子どもと向き合えるレベルの人間なのかって思ったのがきっかけです。

子どもと向き合えるか考えるようになったきっかけがあったんですか?

昔の自分は話の通じないことが苦手な人間だったんです。だから子どもとはコミュニケーションが取れないから苦手だったんです。

なるほど。(以外だ…)

物事を説明できる能力やコミュニケーションが取れればいろんなことを吸収できて最大の成長につながる。そんななか本能でぶつかってくる子どもに対して自分が大人としてどれだけ話ができるか、どんな目線で話せるかを知りたくなったんです。

ダンスを教えることがきっかけだったんですね。

たどるとそうなりますね。自分が誰かとかけ合わせられる要素はなにかを考えた時にダンスだなと気づいて。ダンススタジオをやるようになったんです。できなかったことができるようになっていくことが楽しくって、それを見ることも嬉しかった。

理想の先生ですね!

まちづくりに携わっていくといろんな人が成長していくのが見えるし、自分も成長してるなって感じるからモチベーションになるんですよね。今はまちの成長が自分の成長にもなると思っています。
嫌いだからこそ気になる「成長」という言葉

ダンスを教えることで「誰かと関わることが成長につながる」と思ったんですよね?

実は成長という言葉が嫌いだったんです。高校や大学ではよく聞くじゃないですか?成長しようぜ!みたいな空気。なにそれ?って思ってました。

面白い!

「成長」って言葉が嫌いだったからこそ芽生えた意識なんですね。

そうです。嫌いという好きの対極にあるからこそ、気になってました。哲学のこととか経済を勉強して思ったことですね。成長していくことこそ、絶対的な目標にできる部分がありますし。

目標を立てるって大切なことですよね。

目標を示してそこに向かえばゴールでおしまいというわけではなくて…常に成長していくという指標を持っていたかったんです。

なるほど。

人間が社会の中でどういう方向に向かっていくかというと常に生産を繰り返して、何かの課題に向かっていく存在だと思った時に、成長という言葉から逃げられないなと思ったんです。

「成長」という言葉が嫌いで自分の中から排除しようとしても、寄り添っていかないといけないと感じるようになったんですね。

だって逆らえませんよね。人が成長しているから経済も成長してるわけですから。じゃあ世の中に合わせようかって思って。大学の時にマインドチェンジしましたね。

大学生活で考え方のターニングポイントがあったんですね。

そう。それと大学出た後は海外にも行った経験もあって、そこで何もしない生活をしてみた時期があったんです。なにか課題を持っていくのではなく、ぼーっと自分の人生に向き合う海外生活でした。

英語はどうされたんですか?

語学学校も行きましたけど英語がすべてではないと思っていました。親を説得するために語学学校にも通うと言いましたけど、建前です(笑)

私も海外経験がありますが外に出て気づくことってたくさんありますよね。

そう。自分の人生を考える時間が欲しくて、海外でいろんな国の人と話をすると、全然違う思考を持っていながらも人は日々、成長に向かっているなと感じました。

いろんな人と接することで「成長」の必要性を考えるようになったんですね。

そうですね。自分でも不思議なのは、誰かと一緒にいろんな経験をすることで「この人成長しているから私も頑張ろう」って思います。

どういう経験したんですか?

たとえばですが所長の仕事で言うとAさんが相談に来るとします。「こういうことがしたい!」的な相談です。そうしたときにこの人の思いを聞いて、知らなかった世界を知ることができる。もし知っていたことでもこんな見方ができるんだと感じるようになったんです。

誰かと交流することで「気づき」が生まれることを学んだ経験をしたんですね。

昔の自分はこう思っていたのに今の自分はこう思っているなと感じるようになりました。誰かと話すことで気づかされて成長しているなと。

常に自己分析をしているんですね。

その意識はないですけどやってると思います。常に。楽しいんですよ。人に会うのが。人は自分の鏡だと思っているので。僕は僕で会っていく人が成長していく姿を見ると、自分も成長させてもらっているんだと感じるようになりました。

(立派な人だ…)

Aさんの事業が成功したり大きくなったりしているのを見ることで、僕の視野も広がったなと。そうしたときに自分も誰かの話を聞ける器ができているんだなという成長を感じられて楽しいんです。

「人の成長が自分の成長」と意識するようになったのは所長になってからが大きいですか?

たぶん以前からその意識は持っていたんでしょうけど、気づいたのは所長になってからですね。なぜならいろんな人と話すようになったからですね。
人と関わることが自分の成長につながる

いろんな人というのは年齢や職種の幅のことですか?

はい。接する中で「なるほど!人と交流することで自分が成長できるぞ!」って思うようになったんです。これがほんと楽しいですよ。だから今死んでも悔いはないですよね。(笑)

ステキですね!

全力でその人が見える範囲のものを自分も吸収しながら成長できてるってことが幸せになってますね。

うんうん。

マインドとしては「常に吸収してやるぞ」っていう気持ちがあります。それで、成長に向かっているということで自分は楽しい。楽しいことがすべてって考えるようになりました。

今を生きてる!て感じですね。それって目標みたいなものですか?

そうですね。

「目標」で言うと、世の中には差別を受けている人たちが好転できるような場所に身を置きたいですね。目標は自分と関わる人たちが自分と関わることで、幸せになってほしい。これに尽きますね。だから意識としては「誰一人として取りこぼさない」。

理想的な人間像ですね。

実現できなかったとしても、できなかった理由は必ずある。それは自分の力が足りなかったから。でもそれは成長できる余地があるということにつながる。普段は深くは考えないですけどね(笑)

向上心を持つって大切ですよね。

自分が知識を持っていれば支援できる幅が増えるなと思ってます。お金があったらということではなくアイデアで何とかなるだろうって思ってます。

なるほど。

だからこそ周りの人たちと何か一緒にできないか?一緒に解決を目指せるんじゃないか?と思って工夫する。そういう環境に身を置ける状況をつくっていきたいですね。

とはいってもいろんな人がまちにはいると思うんです。相談されても支援できないなぁなんてこともありますか?

いろんな人がいますからね。正直言うとあります。そんな時は悔しさが残りますね。シンプルに。

その悔しさって今すぐ支援できなくても関わりを持っていけば支援できる日が来るかもしれないというやる気のバネみたいなものですか?

そうですそうです!その人を支援できないってことは自分の力不足ってことじゃないですか?だからこそ周りの人も自分も幸せになる!という目標を持って接してます。

努力家ですね。理想の所長って感じです。

努力家かどうかは分からないけど、誰かと話をしていて相手を受け入れられない「なんだこの人!」みたいなしょぼい感情が出てくる経験をすると、自分はまだその尺度でしか相手を見えていないんだなと気づかされて悔しいんですよね。

日々の活動の中で大切にしていることがありそうですね。

大切にしているのは3つありますね。

教えてください。

「やる気」と「能力」と「善の心」。これらすべてを含めたものが自分の力だと思ってます。

ほー。

これがあればいろんなアイデアを提供できるようになりますからね。だからこそアイデアが出せないときはめっちゃ悔しくなる。

みんなで成長できるにはどうすればいいかを常に考えてるんですね?

そうそう。私はこう思っている!実は私もこう思っていた!って思いが通じ合えた時はテンション上がりますね。

(間違いない!)

共存って言うんですかね。世の中、共存していくしかないじゃないですか?相手だけが幸せになるだけじゃ嬉しくない。自分も嬉しくなりたいじゃないですか。共存していくわけですから。

自分の成長が相手の成長にもなるし、相手の成長が自分の成長になるウィンウィンな関係ってことですね。

だってどっちかだけ成長するなんて嘘くさいじゃないですか。自分のことしか考えていないとホントか?ってね(笑)

(笑)

中間支援する立場にいるとその思いを汲んでくれない人もいると思うんですけどどうですか?

いますいます。だけどそんな人が現れた時はどうすれば自分が成長できるかを考えると接することができますね。

その考えになるのはすごいですね。とはいっても難しいんじゃないですか?

そこは長期戦ですね。思いを伝え続けていって、いつか支援につながるなら最高って思うようにしています。ただその瞬間に支援ができなかったとしても、所長として向き合い続けていきます。

相談内容がまちテラスではどうしようもできないことってありましたか?

もちろんあります。自分たちも完璧じゃないので。でも話に来てくれたということはサポートしてほしい、助けてほしいという思いが絶対あって相談されていると思うんです。

そうですね。

なので策が見つからなかったとしても、いま提供できる最大限のものを提供して見守っています。

それが先ほどの「誰一人として取りこぼさない」という思いなんですね。

一個人として相談に乗れるスキルって限界があると思うんです。まちテラスがあることによって相談者にも自信を与えることができると思ってます。

支援できないから…とあきらめるのではなく「見守る」という支援もされているんですね。

見守ることも大切にしたいですね。一概に目先の支援をすることだけが支援じゃないと思うんです。その場その場、瞬間瞬間の状況にあった支援の形があっていいと思うんです。市民活動ですからね。
所長として、川門義人として

お話聞いていると所長として中間支援してはいるけど、義人さん自身も支援されているように感じます。

まさにそうですね。市民活動支援センターとして中間支援していますけど、支援をすることで自分が支援されていることになりますね。

面白いですね。

ずっとウィンウィンじゃないと納得いかないので(笑)。市民活動支援センターとしてもウィンウィンに持っていきたいじゃないですか。みんなで暮らしている世の中ですから。そう考えて実行していますね。

ウィンウィンがキーワードなんですね。

僕の思いとしては、相手との温度差を常に埋められる関係性でありたいですね。相手とギャップがあればあるほど嫌です笑。だって気持ちよくないってことは続かない、すぐに終わっちゃいますよね。

確かにそうですね。

たとえいい取り組みだとしてもです。モチベーションがそうですよね。相手だけがモチベーション高い状態になってしまうとチームで動いていくんだから続かなくなっちゃうと思いません?

確かに。

なのでつねに温度差を埋められるようなアイデアだったり関わりの持ち方だったり、支援の仕方だったりを意識していますね。

北村さんはダウンタウンだとどっち派ですか?

それは好き嫌いとして?それとも自分を当てはめるならという話ですか?

そうです。

考えたことないですけど浜田派ですかね。

僕は松本派なんですよ。完全に松本派。

(実は私、松ちゃんと同じ誕生日…)

松本人志が天才だからなりたいというのではなく、誰かに憑依して作品をつくれるという部分。自分がこの役回りに入っていった方がいい方向にいけるんじゃないかということを考えます。

なるほど。

松本さん的な役回りをした方がいろんなもの見れますし、勉強になりますよね。何にでもなれるカメレオン的な存在って大切だなと。人間この2種類だけって訳じゃないですけど、考えやすい例としてです。

わかります。そう考えると私はやっぱり浜ちゃんですね。携わる場ではやっぱり心理的安全性は確保したい。そうでないと携わる人すべてが取り残される可能性がありますからね。

ですよね。松ちゃんがやってるのって課題解決じゃないですか?この役になった時にできることとかを突き詰めていくと面白いと思うんです。可能性の幅が広がるというか。

誰かをサポートする立場でもありますからそうですよね。

なにか地域に課題があったとしたら、アプローチの仕方って人それぞれじゃないですか?そこをどう自分というものを入れてオリジナリティを作っていくかという部分を真似したいって思います。

その考えだと先ほどの川門義人としてのあり方と所長としてのあり方で乖離が生まれませんか?

所長は何にでもなれるキャラとしてやっています。こう言われたら、こう!みたいな決め事は持たないようにしています。

そうなると「前と言ってることが違う」ということになりかねないと思いますが?

端から見たら、「前と言ってることが違うじゃん」って思ってる人もいるかもしれないけど、そうではないんです。目指す山は一緒でも経路が違うだけですね。もし「前と言ってることが違うじゃん」と言ってくる人がいたら、こう弁解させてほしいですね。(笑)

なるほど!

ちゃんとゆるぎない頂上は見ていますよ!ということを伝えたい。

「頂上」って何ですか?

「公共性」と「成長」ですよね。

うんうん。

誰も取りこぼさないという精神は大事だと思っています。目の前の人を無下にせず、誰かを優遇することもせずですね。地域が良くなるためにやっぱりみんながウィンウィンになればいいと思っています。

臨機応変に対応するスキルが求められますね。

そうです。今で言うと前までは考えられなかった「市長がSNSで発信できる時代」になったんですよ。変わっていくものに合わせていかないとですよね。
「誰一人取りこぼさない」まちづくり

まちテラスのステキなところって、これまでの糸満市市民活動支援センターとしてやってきた取り組みに若い人の視点もいれて活動しているということですよね。

そこに気づいている北村さんさすがです。ありがたいです。誰も分かってくれない思いだと思ってましたが嬉しいです。

これって「誰一人取りこぼさない」をちゃんと体現できているってことですよね?

ありがとうございます!せっかくなんで言っていいですか?

もちろんです!

課題解決って時間の経過や実績も考えていかないといけないと思うんですよ。

(時間と実績?)

今すぐ解決できる方法もありますし、長期を見据えた解決方法もあると思うんです。その時期にいる若者を考えないで課題解決してまちとしていいんですか?って聞きたい!いろんな人に(笑)

今の時代には必要な視点ですよね。

目先のことだけの解決を目指すだけだと変わらないと思うんです。解決を目指さなければならないと感じるから難しいって感じちゃう。

(そうなんだよなぁ…)

長期的な視点で考えて課題解決を目指していくようにするためにこれからの地域を担っていく子どもたちを入れないと課題は解決できないと思うんです。

まちづくりの課題解決に即効薬はないですからね。

そうなんです。大きな課題を一瞬で解決できる能力を持った人なんていないわけですからね。だからこそ自分たちでコツコツやっていかないといけないということを認めて、コツコツやっていった方がいいと思うんです。

コツコツやっていくってホント大切ですよね。

なにが解決に結びつくかって、時間なんですよ。時間というものを経ていくことが大切。時間が大切だからこそ、その場所に携われる人全員で立ち向かっていきたいじゃないですか。

うんうん。

そうなった時に若者を無視していいんですか?って考えに落ち着くと思うんです。上の世代だけでやることがまちづくりじゃないですからね。

(同感です!)

変な話、今の上の世代もいつかは引退します。引退したタイミングで「引退するから若者入れて対策を取っていこう」って言っても無理じゃないですか。

無理ですね。

だからこそ、普段から若い世代と一緒に時間をかけて顔を合わせて考えて実行していくことが今後の糸満市にいいことなんだと信じてやっています。

上の世代にもそう働きかけてるんですね。

上の世代には若者の力も借りましょうよ!って言っています。そうしたら上の世代を悩ます課題をいつか解決できると思っていますからね。
子どもたち“も”一緒にいれる雰囲気づくり

時間というキーワードが出ましたがなにかきっかけがあったんですか?

僕は人生の100年計画を持っているんです。

100年計画?人生の?

ざっくりとですが(笑)。何歳でこれやるって決めてるんですよ。なので時間という概念は課題解決から切り離せないですよね。将来何歳で●●をやるという山に向かうために、今できる目の前を着々と登っていく的な(笑)

行き当たりばったりにしないための計画ってことですね。

誰か忘れちゃったんですけど、「どんなにお金を費やしても時間は買えない」って言ってたんです。

(誰なのかめっちゃ気になる…)

まさにそうなんですよね。どんなにお金を持っていようが時間だけは買えないんですよ。たくさんの時間を持っている若者が他市町村や県外に行っちゃうのはもったいないじゃないですか?そう考えると子どもたちが一番、価値高いと思うんですよ。

子どもたちにダンスを教える中で感じたことなんですか?

それもありますね。教えていく中で変化を見せてくれるんですよ。気づかせてくれるんですよ。

なるほど。

コンテストに出るためにどうスケジュールを組んでいこうかとか細かく言ったらキリがないんですけど、ダンスを教える環境で言うと当事者は子どもたちなんですよ。

でも子どもたちだけでダンスが上手くなるというのは限界がある。大人が入ってどうスケジュールを立てるかなどを一緒に考えていくという場を提供していきたいんですよね。

そうですよね。

「これをやったら正解」ではなくてどう正解を目指していくかをみんなで考えていくことが大切だと思うんです。

一緒に考えていくって当たり前ですけどかなり重要ですよね。

大人が子どものために!って言って大人だけで考えていくのはもったいないんです。

間違いないですね。

ただ「勉強しろ!」っていう大人を減らしたい(笑)。それよりなぜ勉強するのかを一緒に考えられる大人が増えてほしいって思いもありますよね。

いろんな世代と接していくといろんな問いが世の中にはあることに気づきますよね。

そうなんです。問いがたくさんあるから考える。面白いじゃないですか。これが成長なんだなーって感じますし。

実際、まちテラスの取り組みを若い世代と一緒にできてどうですか?

最高です。

なるほど!

すごく何かが変わったということはないですけど同じように若い人たちも年を取りながら学んでいくから急に変わることはないと思っているんで別にいいんです。

その最高と感じた経験を教えてください。

ボランティアしてくれた子が数年経った今、一緒に働いてくれてます。当時、高校生だった子と今、一緒に働けてるんですよ。これってすごいじゃないですか?

共に時間を過ごしていける関係って大切ですよね。

一緒の時間を過ごすことで一緒に内面やスキルを磨くことができるんですよ。お互いの意思がつながっていて信頼関係ができているからこそできていることだと思うんです。

なのでわざわざ「人材育成」にお金をかけなくていいんですよ。日々の中でそれができるはずですから。

市民活動支援センターとしてどんな市民がいるかって知っておくことって大事ですよね。

まちづくりの場合、どういう人が地域にいるかを知ることはホント大事だと思います。みんながキーマンになれるから。そのキーマン同士がいつでも繋がれるように接していくことって大切ですよね。

うんうん。

できあがったものを子どもに見せていくのではなくて、一緒にどう作るかの時間を過ごしていくんです。接していって解決につながった方がいいと思うんです。

過程を共にするって大事です。

時代の移り変わりは早いですからね。根底にある思いを出し合って、共有してこれた人たちは時代が変わっても、いる場所が変わったとしても繋がっていられる自信になりますよね。
今も未来も見据えていく中間支援

他に大事にされている思いってありますか?

今大事にしているのはまちづくりメンバーを増やすこと。若い人を増やすこと。この人たちと時間をかけて繋がっていけるかを意識していくことですね。

中間支援という立場で今の糸満市のために動くというよりは未来の糸満市を見据えて動いてるということですか?

そうです。だって糸満市民あっての糸満市じゃないですか?それなのに市民を無視して進めても生まれるものは少ないですよね。そこにいる市民が幸せじゃないと意味ないんですよ。住んでる人が幸せだから意味になっていく。

うんうん。

そう考えるといろんな人と接していくというのは当たり前ですよね。大義として市のためになりがちですが、その根元にあるのは市民のためなんですよ。形だけしか見ていない人は本質を理解していないとも思います。構成しているものが何かを理解しないといけないと思います。

義人さんも楽しそうですもんね。

楽しいですよ。まちテラス。

義人さんって所長というより歌のお兄さん的な感じがします。

(笑)取りこぼしちゃいけないですからね。「みんな集まれー!」的なね。集まってくれたらちゃんと話せる状況は作っていきたいですよね。どんなひとに対しても。

会って話をしたうえで、向き合っていくんですね。

話してみて仮に今は向き合えないかもしれないけど、いつか向き合える時が来るかもしれないですからね。同じ目線で立てる時を待つ意識も持っていますね。

ステキです。

仮にめっちゃ稼いでも、自分のために使うのはつまんないじゃないですか。大きなお家に住んでも、良いクルマ乗ってても、本質は形じゃなくて、中身を充実させていきたいじゃないですか。

濃厚な雰囲気が強さを作りますもんね。とがった人がいることも大切です。

そうなんです。とがった人がたくさん集まればとがったようには見えないですし、気づいたら円になってるじゃないですか。心強いと思うんですよね。

だからこそどんな人が来てもおんなじ接し方をするんですね。

はい。
まちテラスの必要ない糸満市を目指したい

まちテラスに携わるようになって3年ですがこれからのビジョンってありますか?

みんなで成長できる場になればいいなと思っています。まちテラスを介さなくてもいいと思うんです。

と言うと?

市民活動関係は必ず私たちに話をして!って思いはないので。使命としてはまちテラスのような中間支援組織がいらない環境が作れたらいいですよね。

なるほど!

みんながみんなのつながりの中で思いを持ち寄って今回はこれをやっていこうよ!…やってみたら、できたね!ダメだったかぁ!ってできる人たちが増えたらまちテラスはいらないですよね。それが理想。

必要だったら利用してねというスタンスですか?

はい。

誰かがやっている活動に交ざりたいけど、恥ずかしいとかの理由で交ざれない人もいると思うんです。でも地域を良くしたいという思いはある。そういう人たち向けにこれからスタートしていく「市民提案型まちづくり事業」があるんですかね?

なるほど。確かに。「市民提案型まちづくり事業」が地域に携わるきっかけになれるならうれしいですね。

コミュニティって作るものではなくて気づいたら出来上がってるものだと思うんですが、市民提案型まちづくり事業をきっかけに思いを行動に移せる人が増えてほしいですか?

言いたい事やりたいことを我慢している人がいるなら増えてほしいですね。それを実現できるひとつの場としてですね。

うんうん。

やり方と気持ちとノウハウがあれば実現に近づけるんじゃないかと思うので、一緒に形にして作っていこうという思いが強いですね。

詳しく聞かせてください。

ただ「市民提案型まちづくり事業」でお金出します、ではなくて、必要であれば全面的にバックアップします、という気持ちですね。そんな立ち位置がいいですよね。やってみたいなというアイデアレベルから相談に来てほしいし、もちろん自分たちでできるスキルがあるならやっちゃってOKですからね。

あくまでもひとつのきっかけということですね。

究極はまちテラスが必要ない世の中になってほしいんだけど、いろんな課題解決を目指す中で今はまちテラスがあるんだっていうことを知ってもらってどんどん利用してほしいです。

私もそう思います。

市民活動支援センターが無くなった時は協働のまちづくりができている証拠だと思うので、そうなっていない今はまだ協働が達成されていない。

はい。

今だからこそ、何かあったら相談に来てほしい。上手いこと使ってほしいって感じですね。無くなってからだと支援がそもそもできないですから。

あるからこそいつでも活用して!って感じですね。

私たちはきっかけのひとつでいいんですよ。相談したら恥ずかしいとかない訳ですし。気兼ねなく頼れる人々でありたいですよね。

柔和なスタンスって中間支援組織の理想ですね。

はい。

「こんなことで困ってるんだー」って言ってもらえれば、「こんな人がいますよー」とか伝えられますもんね。

そうなんです。だからこそ、なんでもいいからまちテラスを活用してほしい。上手く使ってほしいって感じですね。

これからの世の中、こうじゃないといけないみたいな精神は崩壊していくと思うんです。学生はこう!大人はこう!みたいな。自分をしっかり表現できて主張できた方が強くなれる時代ですからね。仮に表現ができない、仕方が分からない人がいれば、サポートしますよ!ってスタンスです。

相談内容は何でもいいんですね!

他の人と違うということを恥ずかしいと思わないでほしいです。スマホが使えない、オンライン会議のやり方が分からない、だから恥ずかしいとか…そんなことないんですよ。どんどん相談しに来てください!って感じですよね。みんなで助け合える状況って良いじゃないですか?

なので「市民提案型まちづくり事業」もひとつの手段ですから何か思いがある人は使ってほしいですし、こんなことで使えるのかということがあったらじゃんじゃん相談に来て欲しいと思っています。

今日はいろいろとありがとうございました。

どんどん話し込んじゃってすみません。

いいんですよ。

ありがとうございました。
魅力人の情報
糸満市市民活動支援センター まちテラス
場所:沖縄県糸満市字糸満989番地の83
糸満市場いとまーるE-1
TEL:098-851-8002
FAX:098-851-8003
開館時間:月曜日から金曜日 午前9時から午後6時まで
休館日:土曜日・日曜日・国民の休日・慰霊の日・年末年始
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ファシリテーターとして感じたこと
まちづくりの現場は携わる人が多ければ多いほど多様性が広がり、中間支援組織には柔軟性が求められます。相乗効果を目指すにはビジョンの共有、役割分担の明確化、どう相互理解を目指していくかを深めていく必要があります。
「地域」という多様性の塊だからこそ、歴史や伝統、雰囲気を理解し、どう行動するかで未来が変わります。
自分や地域が今どうなっているかを俯瞰することはまちづくりに必要なスキルであり、それを活かしていく手段が対話でありコミュニケーションです。
川門さんの思い「誰一人取りこぼさない」の言葉の裏には、地域にどのようなつながりがあるのか、どのような価値交換がされているか、どう地域に活かしていくかを整理しながら関係性を築いているように感じました。
なぜ地域課題の話し合いが必要なのかを理解する人が増えれば地域で共通の未来を描くスタートラインに立てた状態なのかもしれません。
川門さんもある種のファシリテーターです。地域のライフサイクルを常に俯瞰し、瞬間瞬間で最適な行動をしています。パワーやスピードが求められる時こそ、このような立ち回りのできる人が地域の共通の未来を形作っていってくれるのかもしれません。
川門さん、ありがとうございました。
『魅力人』とはファシリテーターである北村が1対1の対話を通じて魅力人の頭の中を掘り下げていく対談企画です。
対話が持つ力って他の人が関わることで、本人だけでは果たせないことが可能になったり先に進めたりすることがあります。思いが形を成す足元には、それを実現するための「技術や知識」があり、社会や人間をめぐる「考え方や価値観」があります。これらを日常的に自問自答し、体現している「魅力人(みりょくびと)」の根幹にある「あり方や存在」をインタビュー形式でお話を伺いました。
次回は誰なのか?
どんな魅力人×ファシリテーターなのか?
お楽しみに。