コラム

イノベーションを生むには他者とのコミュニケーションが大切

この仕事をしていると地域に携わる様々な人と触れ合うことができます。自治会の役員や行政、社協、民生委員PTAなどなど。話を聞いてて感じるのは立場としてのあり方が前面に出てしまって、自分としての軸と乖離しているということ。

今回は地域づくりの現場における他者とのコミュニケーションについて書きました。

遠くの親戚よりやっぱり近くの隣人

「遠くの親戚より近くの隣人」 これは防災用語でよく耳にする言葉です。どんなに血縁関係が大事でも近くに住む隣人同士で互いに助け合うことができます。現在の地域構造は昔と異なるため、こういった部分である意味の共助心が失われてしまっていると考えられます。

何気ない地域活動は防災活動につながります。例を挙げると地域のお祭りの飲食の提供は「炊き出し」につながります。その上、お祭りに住民が集まることで地域の横の連携を深めることもできます。だからこそ地域活動と防災活動を別物とするのではなく一体型で考えたほうが災害時に住民の安心感が変わります。

自治会というふわふわした存在

自治会は地域住民の会費で外灯やごみ集積場、地域行事の運営に充てて活動をする住民によって構成される任意団体です。引っ越してきた方には、なぜ会費を払う必要があるのか?それを何に使っているのか?を共有しておくことが必要です。使い道をきちんと説明していない地域が多いと感じます。

会計報告を回覧板で回していると言っても、一方的にやっているだけで、住民に見られて読まれなければ意味がないものです。

何かを決める集まりに行ったとしても、すでに決まっていることに時間を割くことも多く、参加する側は行く必要もない場が多く見受けられます。それでは住民が地域に対して良いイメージを持つ人は少なくなって当然です。そのために立場を理解することが必要不可欠です。

立場を理解して仕組みをつくる

私は地域のつながりが薄れれば社会のつながりも薄れて同然と思っています。こう考えると行政は地域を絡める必要があります。地域を何とかしろ!と思うのであれば「まずは自分から」という心持ちが必要です。それぞれの立場を理解したうえで良い部分も悪い部分も情報を共有する必要があります。

  • 自治会 → 地域の情報を取りまとめる役割
  • 行政  → 執行権者として住民の声をいかに拾い将来に活かしていく役割
  • 議会  → チェック機関として最小の経費で最大の効果を検証する役割

情報を共有するためにまず、地域の構成に関連するお互いの現状を知ることが大切です。そのために内から内、外から外、内から外、外から内で情報共有できる仕組みを考え定着させる必要があります。そしてその場に参加する住民のライフスタイルや立場を理解したうえで人材育成について真剣に話し合うことが大切です。

自分とは違うライフスタイルや立場を理解するためには、地域に何が必要かを具体的に話すことが先決で、その後に地域のあり方を考えることにつなげていきます。地域が地域に合ったものを見出して活動に変えていくことです。「どこどこでこんな事例があるからこっちもやってみよう」では自分の地域に合うことはほとんどないです。適切な取り組みをしていく判断が必要になります。

住民が地域の会合に忙しくて参加できないのであれば、そのまま知らぬ存ぜぬではなく、「参加できないという意思表示」をしてもらう仕組みをつくることが大切です。関われないということを伝えることで運営側は別の手段を考えられます。地域も今までとは違う考えや取り組みを進めた方がいいです。参加できない人を爪はじきするのではなく、地域のことに関する会議があったのであればその議事録を住民に共有する必要があります。

共有する方法は今ではたくさんあります。原始的に一戸ずつ住民に配布する方法、公民館や集会所など住民が通う場所に掲示する方法、事前にメール登録制にして、メールで一斉送信する方法などたくさんの手法を展開することができます。

住民が日常的に通う場所に貼ることは自治会側も時間と手間がそこまでかからないので実行に移しやすいと思います。近所のスーパーや銀行、保育園や病院なども目に触れられやすい場所です。

私が地域づくりに携わる方から話を聞いて感じるのはどこも「住民間で顔を合わせる機会が著しく少なくなった」ということ。顔を合わせる機会が少ないのであれば、仕方ないで済ますのではなく、情報共有できる仕組みを作っていく必要があります。

行政機関に意見を伝える方法

自治会長から「役所が話を聞いてくれない」という相談を受けた時、私は「口頭ではやらず文書でやりましょう」と伝えています。要請や要望についてもです。もちろん議会に対してもです。市議会議員は区長経験者が多いケースがありますが、昔は成立していた「要望を”言えば”相手が動いてくれる」そんな時代は終わっています。

基本は文書で意見を伝えて、文書で回答をもらう流れが理想です。そうしないと行政機関で担当者が変わった時に引き継がれることはありません。文書という形あるもので残すことで担当者が変わっても引き継がれます。

地域内のつながりをつくる方法

地域が元気になれば、市全体も元気になりますし、市の魅力をそこから広げることができます。地域を身近に感じながら何が地域に必要かを具体的に話し合うことで「地域のあり方」が作られていきます。自治会であれば自分たちが行っていることが地域に対して合うか合わないかという判断が大切です。合わないものをやったところで負担が増えるだけです。

地域内につながりをつくる方法。
それは組織として実行することの引き算と足し算の繰り返しです。

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記事を書いた人
北村 正貴

ファシリテーター・初級地域公共政策士(認定番号 第F15-0427号)
チーム活動に大切な「対話の方法」を教える研修やワークショップの企画運営をはじめ、組織開発(コーチング/ファシリテーション)のコンサルティング支援を行う。

「組織の"働き方"の課題を話し合いで解決したい」という漠然としたご相談から始まります。

北村ファシリテーション事務所では、あらゆるコミュニケーションの活性化を目指して、組織が目指したい状態に向かうために対話の場づくりでサポートします。働きやすい職場づくりに向けた対話ワークショップやスタッフ研修はお任せください。

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