事業レポート

住民参加型で糸満市の新しい総合計画のキーワードを創出する

2021年度からスタートする「糸満市第5次総合計画」の策定に向け、住民参加型のキーワード出しを目的としたワークショップ「いといと地域ゆんたく会議」を実施しました。決められた問いと中学生でも参加しやすいプログラムによって、楽しみながら思いや願いを出し合い、今後のまちづくりに関する種が生まれました。

課題

糸満市は2021年に市制50年を迎え同年に「糸満市第5次総合計画」が動き始めます。総合計画とはどのような「まち」にしていくのか、そのために「誰がどのような取り組みを進めていくのか」を総合的、体系的にまとめたものです。市の福祉や各計画などのすべての計画の基本となるものであり、「まちづくりを進めていく指標」になります。

この設計には住民の意見を取り入れ、今後のまちづくりに反映させることが求められていますが、単に住民の意見を集めるだけでは具体的な取り組みに対する「単なる要望」となってしまうため、住民からの意見の引き出し方に課題を抱えていました。

実施に向けて

総合計画は市が単独で策定を進め、実行していくものではありません。さまざまな業界を交え、手法を駆使して少子高齢化、環境対策、人口減少、情報化、国際化、ICT等を見据えた施策の遂行に努める必要があります。そのなかでも住民の意見や思いは地域のリアルを浮き彫りにし、その抽出した内容を計画内に盛り込むことも重要です。
そのため、住民が住民同士でこれまでの生活や期待する将来像を改めて熟考でき、今まで以上に住民参加型のまちづくりの機運を醸成できる時間を提供することが求められています。なおかつ住民一人ひとりが過ごした時間、経験を振り返ることで、それらがまちづくりのヒントになること、そして自身のこれからの生活に紐づける必要があります。

アウトプットしてもらうためのゴール

・思いや願いを振り返り、理想の地域の姿をイメージする
・将来像につながるキーワードを出し、どんな取り組みをすると、目指す将来像につながるかを考える
・お互いが話し合える時間を設けることで、共感や協力を得やすい土壌をつくる
・主体性を発揮しやすい手法を体験することでこれまで知りえなかった声を拾いやすくする

実施内容

市の「総合計画」は住民にとって生活していく機能、企業や団体にとって振興の活動拠点、交流の場を提供するなどといった複数の機能を持っています。そこで、ワークショップの対話が浅く中途半端なものにならないよう、3つの切り口から考えを深めていきました。

1つ目の切り口は「印象的な出来事」。糸満市で暮らす人々が経験してきた印象的な出来事を思い返すことで、世代ごとに持つ価値観について考えを深めました。
2つ目は「資源と課題の抽出」。他人にはない自身が思う糸満市の魅力を考え、世代ごとで感じる地域の資源に焦点を当てて対話しました。
3つめは「将来像」。自身が経験した良かったこと悪かったことを踏まえ、将来的にどう変えていきたいかをイメージしながら考えました。

カードを活用した遊び心のあるプログラム

住民参加型ワークショップを単に、「市に対する要望や苦情を話す場」にすると「あれも欲しい、これを作って」といった抽象的な意見にとどまり、住民の主体性は育まれません。今回のワークショップでは住民と市の考えを合致させる仕掛けとして第4次総合計画の施策内容を「〇〇したい」という主体性を意識した文言に書き換え、カードに落とし込み、より具体的な将来像を具体化できる手法をワークに取り入れました。

結果

糸満市には6つの中学校区があり、各所で地域ワークショップを開催しました。10代から70代の住民168名が参加し約1500の意見を抽出できました。全6か所で行ったワークショップ終了後には「総合計画」が他人事と思えないという意見や、地域や学校でもこのプログラムを取り入れたいなどの感想をいただき、市に対する興味関心も高まりました。

報告書|「いといと地域ゆんたく会議」

そして実施した全6回の地域ワークショップの内容をもとに11月4日に「いといとゆんたく超会議」と称した総合ワークショップを開催しました。

この記事を書いた人
北村 正貴

1985年群馬県桐生市生まれ、沖縄県糸満市在住、ファシリテーター。2013年より地域おこし協力隊として単身沖縄へ。糸満市内で地域コミュニティの再生や集落の自立的発展を目指し活動。2015年、沖縄、ふるさと百選(集落部門)受賞。2018年に北村ファシリテーション事務所を設立。「多様な人が集う場を対話のできる場に」をテーマに行政、コミュニティ組織(自治会/町内会/まちづくり協議会等)、NPO団体、市民団体、企業など社会課題の解決と新しい価値の創造に取り組む多様な主体のコンサルティング支援を行う。

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北村ファシリテーション事務所