当事務所は社内の課題解決や未来創造に向けたワークショップや研修をオーダーメイド設計いたします(出張・オンライン可)
Fの相談室

チームビルディングが中小企業に必要な理由と手法

最近では「チームワーク」と同じように「チームビルディング」という言葉が世の中に浸透してきていると感じています。

北村ファシリテーション事務所が行ってきたチームリーダー向けのワークショップでも、この言葉を参加者から聞くようになりました。対話するテーマによっては考えるきっかけづくりとして、あえてチームビルディングの概要だけを伝える時もあります。概要だけ伝える理由は時間的制約があることと参加者が考えを巡らせるためでもあります。

しかし、チームビルディングに強い人材育成事務所と謳っているため「なぜチームビルディングが必要か?」という質問に応えられなければいけないと感じています。むしろ探求し続ける必要のある命題といっても過言ではありません。

この記事ではチームビルディングの必要性を詳しく説明し、事業活動のプラスになるようまとめています。

チームワークを良くするためにチームビルディングがある

チームワークとは「複数の人で協力しあい、ひとつのグループとして共同で作業をすること」です。目標を達成するために、役割を分担して、お互いに協力しあいながら作業を進め、チーム全体で成果をあげる活動です。チームワークがあると個人では達成できないような高い目標でもチームで取り組むことで達成しやすくなります。

一方、混同されやすいチームビルディングは「チームワークを良くするための手段」です。目標達成のために、協力関係にあるメンバーとともに、チームビルディングを行いながら、チームワークで仕事を進める、この流れになります。

仕事はいろいろな方と関わりながら進めていきます。個人のスキルがチームを育み、チームで育む先にある成果が個人の成長につながります。

私自身、個人事務所として事業活動をしていますが、業務をひとりで行っていると思ったことはありません。チラシや名刺づくりをデザイナーやカメラマンにお願いしたり、コピーのアイデアをライターと考えたりしています。自分が不得意なことは得意な方に依頼して、分業することで新しい考え方が生まれることも多く経験しています。

話が逸れましたが、企業で働く人も社内で同じ境遇を経験していると思います。先輩の一言がヒントになり打開策が見つかった、会議で出しあった改善点を次に活かしていくなどです。この協力し合う体制ができている企業には「活性化されたコミュニケーション」があります。

活性化されたコミュニケーションが取れることで、仕事に対するモチベーションやメンタル問題の改善が期待できます。一方で、コミュニケーションの取れていない企業は労働環境の悪化につながります。報告連絡相談が取れていないことによる人間関係の悪化で悩んでしまい、心の病気にかかったり、仕事を辞めざるを得なかったりする状況が増えていることも経営者やチームリーダーは考えないといけない時代になっています。

社員のモチベーションを下支えする仕組みづくりとしてチームビルディングがひとつの要素になります。安心できる環境、すなわちチームビルディングが行われている状態に身を置いて仕事と向き合える社員が増えることで、建設的な議論が行われ、お互いに刺激し合える関係性を育むことができます。

生産性の高い企業が実施している人材育成の共通点

北村ファシリテーション事務所では「チームビルディング」を、メンバーが目的やゴールに向けて最適な関係を築きながら成果につなげる手段、と定義しています。つまり「生産性の向上」です。

成果につながる企業は前向きな協力関係が社内にできています。しかしながら、部署を越えたプロジェクトチームや社外と連携した事業を行う場面になると、協業し合うメンバーとは言え、どう関係性を築けばいいか考えてしまう人も少なからずいると思います。

この場合、いかに仕事を進めるためにメンバーのスキルを最大限に発揮できる環境として組み立てていくかが成果に左右します。協力関係ができている、トラブル時にフォローし合える仕組みができていることで目標達成に向けて着実に歩めることができます。

大企業であるほど人事部門が主導となり、社員のスキルアップやフォロー体制が整っているのではないでしょうか。しかしながら中小企業では、部門リーダーが自身の業務をこなしながら、メンバーの管理も行っている実状もあります。

働く環境づくりを担当者だけに任せてしまうと、決めたことが事後報告で済まされたり、現場に浸透されなかったり、共有されなかったりします。そのため少しずつメンバーと乖離が生まれてしまいチームの士気を下げてしまう危険性も潜んでいます。

昔のようにトップダウンの指示系統では難しい社会になっています。担当者だけでなくメンバー全員でチームビルディングを推し進めることがボトムアップの体制として望ましいです。そのために各自が感じる働く環境への考えを対話を通じて共有し、定期的に見直していく必要があります。この作業には、収益に直結する数値目標だけではなく、社員がどういったチーム環境で仕事をしていきたいかを共有した先に創り上げた人事戦略、になります。

これまで業種問わずいろいろな経営者やチームリーダーと接してきました。お話しいただくほとんどが、社員の働く環境を良くしたいけど自社に見合った戦略を立てられない悩みです。戦略を立てられず付け焼き刃の対策をしてしまう企業は、社員の育成半ばで辞められてしまう傾向にあります。

反対に、社員がどういった環境で仕事をしていきたいかヒアリングを実施し、社の規模や実現可能性を加味した戦略を立てている企業は違います。トップダウンだけではなくボトムアップも共存できている雰囲気から、社にあったチームビルディングが行われ、経営者と社員の仕事に対する思いに一貫性が生まれています。

チームビルディングができている企業には共通点があります。

心理的安全性が高い

心理的安全性とは、他人からの反応に怯えたり、羞恥心を感じたりすることがなく、自然体の自分をさらけ出せる状態を意味します。 グーグルが2015年に「心理的安全性は成功するチームの構築に最も重要なもの」と発表したことで注目を集めた言葉であり、今では多くの企業が関心を寄せています。

心理的安全性は大企業だから考えられることではありません。むしろ中小企業だからこそ必要な言葉です。仕事を進めるために大切なことは良好な人間関係に身を置けるかどうかです。心理的安全性の高い環境で仕事をすることで、モチベーションにつながり、成長意欲も充足されます。社員からは愚痴ではなく意見やアイデアも飛び交い、新しい価値を創る可能性を高めることができます。

活発なチームには年齢や役職関係なく均等に発言できる機会があり、深い話し合いができます。心理的安全性の低い状態では気軽に発言ができません。発言をしようとする気持ちすら抱かない方も多いかもしれません。自分ではこうと思っているのに多数の意見に流されてしまう、波風立てないように場の空気を読んでしまうこと、に拍車がかかる一方です。

お互いの信頼している

企業活動を進めていくなかでメンバーで補完し合う関係を築くためには、強い信頼関係があることが前提です。これは意欲の有無やスキルの高い低いに関わらずです。信頼できるメンバーいることで報告、連絡、相談が循環し、協力しやすくなります。ですが、上司の機嫌が悪いから伝えるのを後回しにしよう、あの人は作業が遅いから自分でやってしまおう、などの個人的な言い訳を持っていてはチームとして目指す成果に結びつきにくくなるのは当然です。

結果を追い求めることも大切ですが、過程にも着目し、着実に歩んでいく環境を整えていくことが大切です。

事業計画を共有している

着実に歩めるチームには「共有する」意識が共有されています。企業のゴールや計画のみならず、個人レベルの思いも加味された状態で議論を進めることで横や縦のつながりを強くすることができます。計画段階からどのように計画できたかを共有されていれば、仕事を進める過程で軌道修正がしやすくなり、日常的に互いを尊重し合うことができます。

企業には理念があり、それを目指すために仕事があります。共通認識を持ち合わせているとはいえ、年齢やスキル、貢献度、経歴など多様な個人が集合して仕事と向き合っています。意見が食い違うことは当然起こります。刷新したい人もいれば、現状で満足する人もいます。しかし、企業の規模や業種関係なく、計画を立てていない企業はありません。ではなぜ「計画」が大事なのでしょうか。

答えは単純です。仕事のほとんどに期限があるからです。チームで行う仕事であればより一層、計画の共有や進捗確認が求められます。

仕事における計画を実行していく意識は、部署をたくさん抱える組織ほど疎くなる傾向があります。事業に関わるメンバーが多岐に渡る企業ほど、各自の仕事が業績や成果に結び付きにくいものになります。そのため、時間に対する意識が低くなり、職務に対して計画を立てずに無尽蔵に行う傾向にあります。毎日の仕事を時間刻みで管理している人も少ないのではないでしょうか。

自分の会社に計画を立てることが得意な社員がいるとします。その人はチームリーダーで社員から慕われており、時間刻みで自身の業務をこなしており指示も的確です。しかし、いくら素晴らしい人材がいて、計画通りに進めようとしても、社員に計画的に仕事をするスキルが伴っていないと計画的に仕事が進まなくなります。

逆も然りで優秀な社員が計画を作ったとしても、時間を読まない仕事の仕方をする上司だったら、企業としても改善が必要です。

計画を立てたにもかかわらずチームで共有せず、行き当たりばったりで仕事をすると時間のロスを招きます。修正作業に時間がかかったり、深夜まで残業したりすることになります。このような仕事の仕方をする社員が社内に増えてしまうと新入社員の士気も下がり、離職につながるケースも考えられます。

「計画は立てても変わるから無意味」という人がいます。ここでお伝えしている「計画を立てる」ことは「計画通りに仕事をする」ということではありません。では何のための計画なのでしょうか。それは計画を立てておくことで、仕事が遅れた際にゴールにたどり着くまでにどんな影響を及ぼすか、どのような作業が追加で必要なのか、それに伴うスケジュール調整をどう行えばいいのかを先手を打つことができます。

たかが計画、されど計画でゴールに向けて着実に歩めるかどうかが変わります。企業によって規模や社風があるからこそ、計画づくりはどこかに書かれたハウツーをそのまま実践するのではなく、自分たちで導けるよう対話を繰り返し、チームビルディングを循環させていきながら自社ならではのハウツーを構築していくことが重要です。

そのためにも日頃から「共有」を意識した仕事を心掛けることで「自分たちの取り組みは良いものを生み出している」と信じることができ、自分の仕事に自信を持ち、企業の生産性の高めることができるのではないでしょうか。

経営者と社員の透明性が働き方を改善に導く

チームビルディングを推し進めると生産性が高まる、と記してきました。しかし注意することもあります。

一方的な指示をしないことです。人は何かを強要されたと感じた時、考えや行動にブレーキがかかります。強要されたことでマイナスの感情を抱いてしまい、状況に見合った判断がしにくくなります。仕事だから当然という声が聞こえてきそうですが、仕事だからこそ、忙しいときだからこそ、的確に指示することが求められます。

的確な指示とは、やるべきことを伝えるだけでなく、伝える相手の現状を把握したうえで行う指示を言います。やってほしいことをどう取り組めるかを一緒に考えたうえで指示することが賢明です。言われたことをこなすことも職務です。ですが、「これやっといて」と一方的に投げていてはチームワークが機能しません。社員がどんな状況なのか、指示することでどのような変更を強いられるか、期限を守って指示内容を処理することができるか、に熟考する必要があります。

仕事は流動的です。計画通りに仕事をするだけではなく、何かあった時に計画に立ち返り、調整を繰り返して目標を目指すものです。そのため、計画のなかに変更を伴う事由が発生した場合は、社員になぜ変更するのか、理解してもらえるまでていねいに説明をすることがリーダーに求められます。具体的にどう行動してほしいかまで伝えることで、社員は計画に沿った主体的な行動をすることができます。

仕事をするうえで「やらされてる感」は避けたいものです。やみくもに指示するだけで、なぜ突発的にこの作業が必要なのか、どこを目指しているのかが曖昧になってしまうと、社員には仕事に対して「やらされてる感」の感情が大きくなります。おのずとチーム内に消極的かつ打算的な雰囲気が浸透してしまい、モチベーションを奪う可能性があります。

チームビルディングを取り入れ始めたときだけ意識され、時間の経過とともにこれまで通りの社内の雰囲気に戻ってしまうことは時間を無駄にするだけです。忙しくなればなるほど人は視野や思考が狭まり、自分の都合の良い解釈に陥ることから、忙しい状況こそなぜチームビルディング取り入れたのかを問い直すことが必要です。

まとめ

まとめるとチームビルディングがなされている企業には以下の基本方針が見えてきます。

  • 活性化されたコミュニケーションから活性化された事業をする
  • メンバーのスキルを発揮できる環境づくりができている
  • トップダウンとボトムアップが共存できている
  • 忙しいときこそ立ち返れるよう体制を整えておく

もちろん、これらを実行すれば経営が軌道に乗るというものではありません。ですが働きやすい環境をつくるためにどうすればいいかを経営者だけで考えるのではもったいないです。社員とともに話す機会を設けることで大きく変わります。この基本方針を前提としたうえで、自社はどうすべきかと考えるのが経営者に求められることと思います。

このご時世でもあるため、社員以上に経営者もストレスを感じています。行く末は気になると思いますが、こんな時期だからこそ足場固めをしたいものです。そのきっかけづくりとして年の切り替わりなどの節目がチームビルディングを導入しやすい機会ではないでしょうか。

大切なのは経営者と社員の間にある”ギャップ”をプラスに作用させることです。社員は企業のポテンシャルそのものです。ああでもないこうでもない、と真剣に、そして柔軟にコミュニケーションを取ることこそが何かを生み出す源泉なのではないでしょうか。

社員も経営者に委ねるだけではなく、積極的にサポートを行い、ともにこの難局を乗り越える気持ちでチームビルディングを進めていただけたら幸いです。

\ この記事をシェアする /
記事を書いた人
北村 正貴

1985年群馬県桐生市生まれ。沖縄県糸満市在住。2013年に地域おこし協力隊として単身沖縄へ渡り、地域コミュニティの再生や集落の自立的発展を目指し、対話型ワークショップ実施やイベント企画をするなど活動。2016年「沖縄、ふるさと百選集落部門」入賞。2017年4月より個人事業を開始。組織の課題解決や社会の未来創造に向けた人材育成事業を展開。これまで230の組織、1500名をサポート。糸満市商工会会員、初級地域公共政策士(取得中)

多くの依頼は「組織の運営上の課題を話し合いで解決したい」という漠然としたご相談から始まります。

北村ファシリテーション事務所では、企業、自治体、コミュニティ組織(自治会、町内会、まちづくり協議会)、NPO法人など様々な組織のご相談も積極的をお受けしております。

ご相談を通して要望を整理し、最適な要件を抽出。ワークショップや研修プログラムとして具体化・実行・定着を目指したご提案をさせていただきます。

北村ファシリテーション事務所